大人が楽器を習得するときの’独学法’
- 郁代 麓
- 2022年6月27日
- 読了時間: 6分
更新日:2024年3月19日
大人が楽器を習得するときの’独学法’
大人は、考えないとできるようにならない。
をまずセオリーとしよう。

子供の時の逆上がりの練習を、思い出せるだろうか。
こうやって、ああやって・・頭で考えて練習しただろうか。
見て やる。 見て やる。
その繰り返しだったような気がする。
時々補助をしてもらって、できた感覚を体で感じて、
「体得」していく。
大人になると、考えるようになる。
意味はあるのか?どうやったら上手くできるか?正しくやるには?
子供の頃にしたような体感覚的な反復よりも、良くも悪くも頭が動き始める。
そう教育されてきている。
たいして考えない人でも(笑・・思考という作業が入るのが、人間の成長というもの。
『見て考える✖️見て反復する』
視覚を大いに使う。
聴覚、耳というのは今まで聞いてきた教育が必要。英語を聞いたことがない人に、英語が聞けないように、楽器の音の表現力も然りなのだ。特に二胡という民族楽器は聞いたことない表現力も沢山ある。
どうやって動いているのか?をよく見て考える。
その動きを反復する。
反復という作業は、あるところから「感覚」が支配してくる。
意識せずとも体が動いていく。ここに達すると体に入っているサイン。
目を閉じて弾けるようになったら、感じるといい。
動きを、語感を、音を、リズムを、温度を、体の内側から感じとる。
言語化するのはそのあとで十分。
目標に近づけたことがわかるのは「感覚」だったりするので、感じとる感覚というのは、大事にしたい。
この2週間、新しい中国古典曲を練習していた。
難易度のある古典曲を一人で譜読みし、弾きこむ作業。
モデリングという方法を使っている。
モデリングには、行動レベル 信念レベル、と二つのモデリングがある。
目の前の動きを真似るのが、行動レベルのモデリング。
この人だったら、こんな時どうするだろうか? がわかるのが信念レベルのモデリング。
すぐにできるのは、行動レベルのモデリング。
動きをそのまま真似する。
行動のどこまで真似をするかという所で、完成度は当然変わる。
なんとなく真似をするのは、なんとなくに過ぎない。
テクニックを身につけたいのなら、ここは細かいレベルまで見ていくといい。
世の中、YouTubeで本場中国の一流奏者の演奏は見たい放題。
これは素晴らしくありがたいこと。
動画を徹底的にお手本にする。
音だけの音源では、何をしたらこの音が出るのか?というのは聞き取れない事も多い。
言葉と一緒で、自分が発音できるものは聞き取れる。
自分で発音できない音は聞き取るのも難しいのだ。
私流の新譜の読み方を紹介してみよう。
1, 自分の弾きたい曲を、YouTubeで沢山の奏者の演奏を聴きまくる。その中からこの人ときめる。できる限り両手の映像が見えているものがいい。
2, YouTubeの速度を0.5倍まで落とす。正直音は伸びてしまってひどいが、半分まで速度を落とすと、何をしているかが見える。このゆっくりさで忠実に動き真似ることがとても大切。
a. まずは譜面を読みながら曲の形を見る。
ビブラートの大きさや長さ、強弱、音を切るところ、装飾音、全て譜面に書き込む。
b. 次に動きの型を覚える。左手に注視。
手の形、腕の使い方、ビブラートの大きさや、かけかた、滑音、手の動きをまねる。
c. 次に右手に注視。弓の使い方をまねる。
8小節くらいで区切りながら、進めていくといい。
ビブラートもこの速さで練習していると、手に型が身についてくる。
この時点で沢山の気づきが起こる。(中国人のビブラートの種類の多さに気づいて欲しい)
特に弓の使い方が、表現力に繋がることがよくわかる。弓の位置、長さ、しなりかた、弓の持つ手の力の入り具合。
この時に、自分の動きを鏡で見ながら行うといい。
動画を撮るのでもいいのだけど、手間と時間がかかる。
鏡はすぐフィードバックが得られる。これは譜面にかじりつきになっているとできないので、8小節位の短い区切りで暗譜も進めていくといい。
曲を暗譜するまで、この速さで練習するのがbetter。
「ゆっくり、正確に、気持ちよく」
物事を習得するときの、最短の方法であると思う。
Q.「どれ位繰り返すか?」
A.「体に入るまで繰り返す」(意識せずに体が動く)
Q.「できない所はどうしたらいいか?」
A.「できるスピードまで落とす」
ただ、できないところは印をつけて後に回すといい。曲を最後までさらってから、出来ないところに集中する。モチベーションの持続も必要だから。
反復は、気長に繰り返す!
大人のできるようになる時期は、その人のタイミングでやってくる。
3. 形を理解し覚えたら、スピードをあげていく。
YouTubeの場合、0.5の次は0.75 標準といきなり速度が上がるため、次は音をダウンロードして、速度調節のできる音楽アプリに入れる。
音を聞きながらやるときのポイントは、耳のそばで音を聞くこと。イヤホンを使うといいのだが、ボイススルー機能のついたワイヤレスイヤフォンがおすすめ。自分の音もしっかり聞き取れる。
4. 人は自分流のアレンジが得意な生き物なので、しばらくは動画を見ることは続けたほうがいい。
動画を見て練習
音だけの練習
無伴奏でひく練習
5.うまく弾けなっかた所、譜面に印をつけた所。そこだけピックアップして練習。
間違えやすいところ、弾きづらいところというのは、大体同じようなパターンだったりします。ここを克服するのは、その曲だけに限らず克服できるようになります。
この反復を繰り返しているうちに、もう暗譜はできていることでしょう。
面倒な作業に感じるかもしれないけど
これが出来上がる時には、驚くほどに沢山の事が習得できている。
私は二曲一緒に譜読みを進めます。理由は2つ。
一曲だと飽きるから。
モデルにする奏者も違う方を選びます。表現力の比較ができるから。
中国古典曲の譜面というのは、譜面に書いていないことが沢山ある。
譜面や記号で表現しきれない。
それを、「教わりたい先生」に教わる。
そんな先生に出会えない時は、練習習慣さえついていれば、独学でもある程度はいけます。(練習習慣の付いていない方は、私のところにいらして!)
テクニックの部分でできないところがあるようだったら、基礎・基本に戻るのが一番。
中国曲を練習の題材に使うと、テクニックの幅は大きく広がる。
そして残念だが精神論は論外である。
気持ちは音に乗らないということを知っておこう。
楽器という道具を使う点で、ここは歌とは違うところ。
悲しい気持ちで弾いても、悲しい音にはならんのです。
気持ちは、表現力(=技術力)の上に乗せるものだから。
これについては、またそのうち書いてみよう。
独学においては、人それぞれ方法があると思う。
あくまでの、私の成功体験。
もっといい方法にならないか、アンテナをはってアップデートを試みてる!
どれだけ真似しても真似しても、絶対同じにはならない。
同じにならないところが、あなたの個性。
個性は引っ込めようがないのです。
すごくマニアックにやっているように見えるけど、見えるだけです!
本人はいたってシンプル!
できるまでやる!それだけです(笑
がんばろう💙
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