胡弓と二胡は、お国も形も違う楽器
- 郁代 麓
- 2024年9月4日
- 読了時間: 4分
今年の「おわら風の盆」が無事開催され終わったようだ。
13万人の人出だったそうだ。
北陸新幹線のおかげで、アクセスも驚くほど早くなった。
かつては、上越新幹線で越後湯沢へ、ほくほく線に乗り換え直江津を経由して日本海沿いをトコトコと。東京から金沢まで5時間くらいかかった。
「おわら風の盆」
富山市八尾(やつお)町で、毎年曜日に関係なく9/1~9/3まで行われる。八尾町はこんもりした小高い丘の上にあるので、坂の町と言われる。

日が傾いてくると、町のあちこちで踊りが始まる。
列になったり、丸くなったり、町内、踊る場所によって様々な編成だ
よく大きく映し出されるのは、灯籠が並ぶ長い石畳に、遠くから列がこちらに迫ってくるのが見える、諏訪町という場所。
三味線、笛、胡弓の地方さんたち
男女の踊り手 編笠を深く被り顔が見えそうで見えないのが、なんとも色っぽい。
踊り手たちは、地元の25歳以下の未婚の男女だ。
以前一緒に仕事をしたバスガイドさんが八尾の方で、練習会にきちんと出ないとお祭りで踊らせてもらえないらしく、何をさておき踊りの練習にスケジュールを合わせたそう。
富山市のhp写真が見れます
かつて、添乗員時代は毎年のようにこの祭りに行っていた。
バスが乗降できる場所からは30分ほど坂道を歩く。
夜の祭りで、初めての街を歩くのだから迷子が出る
そうすると汗だくで・・駆け回るような 神経を使う添乗であった。
初めて訪ねる場所はいつでも必死だったな。
どんな祭りだったかなんて覚えてもいないくらい
それでも回を重ねるうちに、こちらも要領を得てくるもので、お客様と共に祭りを楽しむという事もできるようになってきた。
これだけの人が来ると、今は観光を意識した構成にもならざる得ないだろうが、昔は観光客のために踊るのではなかった。
深夜に近くなってくると、町内の枠を越え自然発生的に踊りが始まる。
町民たちは、家出お酒を飲みうたた寝しながらこの踊りのお囃子を、夢うつつに・・
という三日間だそうだ。
どこで踊りが始まるかわからない、そんな町の中をふらふら歩きながら
深夜まで過ごすのがこの祭り。

胡弓の音色が耳に残り、なんとも言えない祭りの余韻がいつまでも続く
不思議な音色だ。
風の盆のことを、「あの胡弓を弾くお祭り!」と形容されるほど
それほど、胡弓の音色は個性的でインパクトがあるようだ。
(昔撮った写真、ボケてるのしかなかった)
添乗をやめてかれこれ10年が経つが、当時はまだ二胡をやっていなかった
二胡のことを胡弓と言われることは今でも多い。
胡弓と二胡は全く別の楽器なのです。

胡弓と二胡の違い
【胡弓は日本の楽器】
胡弓は、三絃
お三味線のような形で
弓だけでなく、楽器本体も回しながら
弓を上から当てていく

【二胡は中国の楽器】
二胡は二弦
弓は、二弦の間に挟まっていて
弓の表で内弦・裏で外弦
ざっくりと見聞きすると、音形の雰囲気は確かに似ているが、こうして写真で見比べると、胡弓と二胡は
え〜〜こんなに違うの??と思う楽器あるあるです。
二胡も難しいですが、胡弓を習っている方の話を聞くと、胡弓もしこたま難しいようです。
酔芙蓉の花
風の盆ともう一つ、結びつきが深いのが酔芙蓉の花
小説「風の盆恋歌」、直木賞作家である高橋治による作品で
八尾町が舞台になっていて、新聞記者と女性との悲恋を描いている。主人公の2人が逢瀬を重ねた場所に酔芙蓉があったそうな。
実際、八尾のこの家がモデルになっているそうよ、という家に酔芙蓉は植えられていた。
朝、純白の大輪の花びらを開き
正午を過ぎると、次第にピンク色に変化し
夕方に真っピンクになり、花を落とす1日花だ。
風の盆で初めて知った花。
色を変え、酔ったように色を染めることから、酔芙蓉。
花の美しさ、1日で終わる潔さ 大好きな花だ。ちょうど9月の初旬に沢山花をつける。

風の盆が終わったか〜〜となんとなくおセンチな気分。
今日のいきなりの涼しさに、あれだけ暑かった夏のことなどすぐに忘れてしまう
いい加減さ。
酔芙蓉のさく公園があったのだけど
公園の改造にあたり、抜かれてしまった。
どこかに咲いているところはなかろうかね〜
長文読んでくださりありがとうございました。
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